
和牛をはじめとする日本の食材は、米国の高級レストランや専門小売店で強い引き合いがあります。ただし、特に食肉は規制のハードルが高く、「良い商品なら売れる」わけではありません。
まずは、何が輸出でき、どんな条件を満たす必要があるのかを正確に押さえることが出発点です。
日本産牛肉の対米輸出は、2010年の口蹄疫の発生を受けて停止され、2012年に再開されました。
輸出できるのは、米国農務省・食品安全検査局(USDA/FSIS)が認める制度のもとで、対米輸出向けに認定された施設で処理された牛肉に限られます。認定施設は全国でも一部で、USDAが公表しているリスト(2024年8月時点)では16施設です。認定外の施設で処理された牛肉は、米国へ輸出できません。
輸出の際には、日本側の当局が発行する衛生証明書なども必要です。牛肉はUSDAの管轄となるため、一般的な食品とは手続きが異なります。
牛肉以外の食品・飲料を米国に輸出する場合は、製造施設のFDA登録と、輸入者によるFSVP(外国供給者検証プログラム)への対応が前提になります。あわせて、出荷ごとにFDAへの事前通知(Prior Notice)も必要です。
FSVPは、輸入者が供給元の安全管理体制を検証・記録する仕組みで、これが整っていないと通関や取引で止まってしまいます。規制への対応は「輸出できる状態」を作る土台であり、ここを軽視すると販路開拓以前の段階でつまずきます。
米国では「Wagyu」を名乗る交雑種の牛肉が多く流通しており、和牛の血統が一部しか入っていない商品も少なくありません。
だからこそ、輸出証明や個体識別番号などで日本産であることを明確に示し、格付け・産地・品種まで説明できることが、価格と信頼を守る差別化になります。規制を満たしたうえで、本物であることを伝えきることが、対米輸出の要です。
出典:認定施設数はUSDA FSIS「Eligible Plants Certified to Export Meat to the United States(Japan)」2024年8月27日版より。事前通知の対象外となる食肉については、FDAのガイダンス(CPG Sec. 110.310)を参照。最新の要件は輸出前に必ず関係機関でご確認ください。