
米国で価格を決めるときは、日本のように「原価から積み上げる」のではなく、「希望小売価格から逆算する」のが基本です。流通の各段階でマージンが差し引かれるため、店頭価格からメーカーの手取りまでを先に把握しておく必要があります。
食品・消費財の一般的なマージン構造は、おおむね次のとおりです。
その結果、メーカーの手元に残るのは店頭価格の半分程度になることも珍しくありません。
たとえば店頭価格10ドルの商品の場合、小売が約3ドルを取り、残りからディストリビューターの取り分と販促費が差し引かれます。メーカーの実質的な手取りは、5ドル前後まで下がります。
ここから製造原価・輸送費・関税を引いて、利益が残るかどうか。これが価格設計の出発点です。
利益が残らない場合は、原価を下げるか、価格に見合う価値(品質・ブランド・ストーリー)を高める必要があります。安易に卸価格を下げると、一度決めた価格は上げにくく、後から利益を圧迫します。
大手・中堅チェーンでは、棚を確保するためのスロッティングフィー(新商品の陳列料)が発生することがあります。目安は1店舗・1商品あたり250〜1,000ドル程度で、チェーン全体では数千〜数万ドルに達することもあります。
さらに、初回の無償納品(フリーフィル)や販促協賛も加わります。「棚に載せるための費用」まで含めて、価格に織り込んでおく必要があります。
価格が妥当かどうかは、最終的には現地のバイヤーと店頭の反応が教えてくれます。数字だけで机上の設計を終えず、少量でも実際に店頭に置き、売れ行きを確かめながら調整するのが、遠回りに見えて確実な方法です。
※本文のマージン率・費用は、業界で一般に示される目安です。実際の条件は、商品カテゴリーや取引先によって異なります。