価格戦略

アメリカ市場での価格設定|卸・小売のマージンから逆算する

2026.07.17
価格・計算

米国で価格を決めるとき、日本と同じ感覚で「原価+利益」を積み上げると、たいてい店頭では高すぎる価格になります。米国の流通は、あなたの商品が棚に並ぶまでに小売店とディストリビューターがそれぞれのマージンを取る多段構造だからです。価格は「原価から積み上げる」のではなく、「希望小売価格から逆算する」のが基本です。

マージンは「積み重なる」

一般的な食品・消費財のマージン構造はおおむね次の通りです。小売店は棚単価の30%前後(自然食品・専門店ではさらに高く35~40%)を取り、ディストリビューターはそこからおおよそ13~30%を取ります。さらに販促費(トレードスペンド)が卸売上の15~25%ほど差し引かれます。結果として、メーカーの手元に残るのは棚単価の半分程度になることが珍しくありません。

たとえば店頭価格が10ドルの商品なら、小売が約3ドルを取り、残りからディストリビューターの取り分と販促費が引かれ、あなたの実質手取りは5ドル前後まで下がります。ここから製造原価・輸送・関税を引いて利益が残るかどうかが、価格設計の出発点です。

希望小売価格から逆算する手順

  • まず現地の競合を調べ、棚に並ぶ現実的な希望小売価格(SRP)を決める
  • 小売マージン(約30~40%)を引いて、ディストリビューターへの卸価格を出す
  • ディストリビューターのマージン(約25~30%)を引いて、メーカー出荷価格を出す
  • そこから原価・輸送・関税・販促費を引き、利益が残るか検算する

この順で計算し、利益が残らなければ、原価を下げるか、価格に見合う価値(品質・ブランド・ストーリー)を作るしかありません。安易に卸価格を下げると、一度決めた価格は上げにくく、後から利益を圧迫します。

見落としがちな追加コスト

棚を確保するためのスロッティングフィー(新規商品の陳列料)は、通常の食料品店で1店舗・1商品あたり250~1,000ドル、チェーン単位では数千~数万ドルに達します。初回の無償納品(フリーフィル)や販促協賛も加わるため、「棚に載せる費用」まで含めて価格に織り込む必要があります。

価格は現地の実売から決まる

最終的に価格が妥当かどうかは、現地のバイヤーと棚の反応が教えてくれます。数値だけで机上設計せず、少量でも実際に置いてみて、値付けと回転を確かめながら調整するのが、遠回りに見えて確実です。

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